大学3年まで“裏方”だった選手がプロ入り 元楽天投手が生かした唯一のチャンス

ランニングと打撃投手で身に付いた制球力 社会人からプロ入り

「1、2年の頃にやっていた打撃投手では、上級生の打者にストライクを入れなければなりません。そうはいっても外角一辺倒では練習にならないので、自然と制球力が上がったのだと思います。厳しい練習についていくためのランニングで足腰が鍛えられて、球速も上がりました。3年生になってからは野球が楽しくなったので、自分で考えながら積極的に練習するようになりました」

 大学卒業後は社会人野球のシティライト岡山に進んだ。大学以上に存在感を高め、楽天からドラフトで指名される選手にまでなった。大学2年までの土屋さんの道のりを考えれば、プロになると想像していた人はいなかっただろう。

 土屋さんは現役引退後、楽天の打撃投手を経て、昨年10月に仙台市で「土屋教室」をオープンした。一般的な野球の技術指導だけではなく、ゴールデンエイジと言われる園児と小学生の運動能力を伸ばすコーディネーショントレーニングを取り入れている。土屋さんは現役を退いてから、個人トレーナー、キッズコーディネーショントレーナー、スポーツメンタルトレーナーの資格を取得している。

 教室で伝えているのは、「自らの可能性を狭めないこと」。運動神経は決して遺伝ではなく、正しいトレーニング方法を継続すれば動きは変わる。その核となるのが、体の動かし方を身に付け、動きのバリエーションを増やすコーディネーショントレーニングだ。高校、大学と上のカテゴリーに進んだ時にパフォーマンスが上がるように、素地をつくる。

 技術指導と違って、すぐに目に見える変化は表れないかもしれない。「継続しなければ、最も大切な土台できません」と土屋さん。トレーニングの積み重ねは、将来の成功へとつながっている。土屋さんがプロ野球選手になれたように。

(間淳 / Jun Aida)

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