山本浩二監督に「4番を外してください」 新井貴浩が“苦悩”を経て「化けた」ワケ

化けた理由は「素直な性格が一番」

 内田氏は翌2006年から巨人、2008年に広島復帰、2015年から再び巨人に在籍し、新井と同じチームになることはなかったものの、動向を常に気に掛けていた。新井は2008年に阪神へFA移籍し、打点王に輝くなど活躍したが、出場機会が減った2014年オフに自由契約を球団に申し入れ、移籍先を探した。そこでまた広島が手を差し伸べた。

 広島に戻ってきた新井は、また化けた。阪神に移籍した際、広島市民球場での最初の試合では故郷のファンからブーイングを浴びたが、カープに復帰したマツダスタジアムの初戦では大歓声が沸き起こった。同じタイミングでメジャーから復帰した黒田博樹投手とともにチームの雰囲気を変えた。2016年には4番として打率3割を記録し、リーグ優勝の立役者に。MVPを受賞した。「彼が広島で打席に立ったら、人気俳優のキムタク(木村拓哉)さんより拍手が多かったのでは。ここまでの選手になるとは想像もつかなかった」と内田氏は語る。

 内田氏は、新井が“愛情”に真摯な姿勢で応え続けてきた結果と考える。「FAで出たらなかなか戻れない。それを球団フロント、オーナー、ファンが受け入れてくれた。広島は最初に獲ってもらった原点の球団。また最終的に戻って凄く良かった。違うチームになってからは練習を見ていなかったが、何事にも手を抜かなかったと思う。言葉でなく背中で引っ張るタイプ。黒田もそうだが、みんな彼の背中を見ていたはずです」。

 内田氏は、新井が化けた理由を「素直な性格が一番」と語る。「4番なのにヘッドスライディングをするとか無駄な動きは多かったけれど」と冗談も交えつつ「反骨心はあっても反発するというのはないから」と振り返る。現在の仕事ぶりにも目を細める。多くの経験をしたことで「野球観が広がって解説も丁寧。良い解説をしていますよ」と称賛している。

(Full-Count編集部)

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