143キロ“大会No.1中学生”を攻略 全国制覇の秘訣は「緩い球と豊富な打撃メニュー」

ティーは様々な角度から…ソフトボールや竹バットでも打撃練習

 上一色中では、打撃練習のバリエーションが多い。マシン打撃は球速80キロほどの緩い球に加えて直球や変化球も設定し、様々な角度からのティー打撃や打撃投手の投球も練習している。ティースタンドを使った練習では、重さ約1キロの竹バットでソフトボールを打つ時もある。西尾監督はローテーションで選手が打撃練習をできるようにメニューを組んでいる。

「ソフトボールは重いので、900グラムの竹バットで打つことにより、強く振る筋力を身に付けます。ただ、それだけでは十分ではありません。次に軽いバットでM球(中学生用の軟式球)を打って、再び竹バットでソフトボールを打つ繰り返しで振る力、スイングスピードを上げていきます」

 西尾監督は打撃練習で「球を打つこと」を重視している。かつては素振り500回を1日のノルマにしていた頃もあったが、現在は選手たちに素振りを課すことはない。

「置きティーでも良いので、球を打つ感覚を大事にしています。打撃練習ではスイングを動画で撮影して、イメージと実際の動きを選手が確認するようにもしています。自宅に帰ってから自主練習で素振りをしている選手がいるかもしれませんが、打球も自分の姿も見えない状態でバットを振るのは効果が出にくいと思っています。それから、選手たちが自宅前や公園で素振りをしていると近所から苦情が来ることもあるので、時代や環境の変化も一因になっています」

 初戦で大会ナンバーワン投手を攻略して、全国の頂点に立った上一色中。打撃練習では量にも質にもこだわっている。

(間淳 / Jun Aida)

少年野球指導の「今」を知りたい 指導者や保護者に役立つ情報は「First-Pitch」へ

 球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。

■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY