阪神、ファイナルS王手に導いた打席での献身 専門家が絶賛した「影のMVP」とは?
簡単に追い込まれたマルテが見せた“献身性”「外国人では珍しい」
完封劇を演じた投手陣も見事だったが、攻撃でも見逃せない場面があった。新井氏が注目したのは近本の2点適時打が生まれた5回。1死から青柳、中野の連打で一、二塁になると矢野監督は糸原に代え、代打・マルテを打席に送った。
マルテは初球の147キロ直球を見逃し、続く131キロのチェンジアップをファウル。2球で簡単に追い込まれたが、その後はじっくりとボールを見極め四球を選び満塁の好機を作り、近本の決勝タイムリーを演出した。
追い込まれてからバットを短く持ち、ステップ幅も狭めた打席の変化を新井氏は「ボールを長く見ることができ、際どいコースも平然と見逃した。これでバッテリーも警戒し、大胆な投球ができなくなっていた」と指摘する。
シーズンでは怪我もあり33試合の出場で打率.256、1本塁打11打点に終わった。それでも、CS初戦で助っ人が見せた“献身性”には「ホームラン、打点などでインセンティブが多い外国人では珍しい。状況に応じてのチーム打撃。非常に大きな四球で影のMVPと言ってもいいのではないでしょうか」と、新井氏も目を細めた。
セ・リーグのCSファーストステージで過去に初戦を勝利したチームの突破率は86%。敵地で王手をかけたタイガースは勢いそのままにファイナルS進出を決めることができるか、注目が集まる。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)