“結束力”で掴んだ甲子園 横浜高の前主将、アクシデント乗り越えた仲間との絆
2年の夏に起きたアクシデント…練習に参加できなかった時期も
今夏の甲子園で、選手宣誓の大役を務めた横浜高校の前主将・玉城陽希。宣誓では、「これまで怪我で思うように野球ができず、グラウンドにさえ立てない時期もありました。また、チームをどうまとめていくかと悩むこともありました」と口にした。2年秋の大会後、キャプテンはグラウンドから離れざるをえない苦しい状況に置かれていた――。
2年夏、保土ヶ谷球場で行われた神奈川大会3回戦の横浜対神奈川商工。ファーストを守っていた玉城は、フェンス際のファウルフライに体ごと突っ込み、フェンスに激突した。
この時はすぐに起き上がり、試合に復帰したが、数日後、再びアクシデントが起きた。守備練習で打球を追った時にランナーと激しく接触。短期間に2度、頭部に激しい衝撃を受けたことで、しばらくしてから脳震盪の症状が出るようになった。夏の甲子園や秋の県大会は、薬を飲みながらプレーしていたが、それ以降は治療に専念した。
「普通に生活している中でも目まいの症状が出たり、頭が痛くて朝起き上がることができなかったりして、なかなか練習に行けない日が続きました。10月から練習も休みがちになり、11月に入ってからは寮を出て、自宅から通うことに。両親はずっと心配してくれていたので、家にいてくれたほうが安心だったみたいです。実家のほうが病院にも通いやすいので」
練習から離れるようになったことで、精神的に落ち込む日も増えたという。
「正直、体調がなかなか良くならないのもあって、気持ち的にもイライラしていて、野球に身が入らない時期でした。お医者さんからは、『すぐには治らない』とも言われていたので、どうしようもできない自分がいました」