岩隈久志氏が創設…中学生チームが人気殺到のワケ メジャー流で育む“主体性”

怒声罵声は一切無し「楽しくなかったら、辞めたくなる」

 青山東京ボーイズでは、指導者が子どものミスに対して叱責することは一切ない。「やっぱり僕も小学生の時に野球が楽しいから、かっこいいから始めた。楽しくなかったら、辞めたくなりますよね」。野球人口が減る中、厳しい指導のせいで野球を辞めてしまう子どもも少なくない。チームの練習で聞こえてくるのはポジティブな言葉ばかりで、雰囲気はとても明るい。

 もっと厳しく指導すれば、勝てるチームは作れると語る。「でも面白くないですから。失敗して、自分で考えて、課題を解決できたほうが自信に繋がります」。そのために、質問しやすいチームの雰囲気づくりも重視する。

「できるだけ1人、1人と会話して、技術のことだけでなく何気ない会話もするようにしています」。基本的に練習は顔を出し、コミュニケーションを図る。時には自らノックを打ち、一緒にフライ捕球の練習も行う。「一歩遅いな~」「今のは逆シングルじゃないの~?」。岩隈氏は常に明るい表情で、子どもたちと接する。

「技術を教えてもらう時でも指示待ちにならずに、自分から聞いてくる環境を作ってあげたいと思っています。自分たちで考えることができる人に育っていってほしい」

 まだ始動して5か月ほど。中学1年生が多いため、試合であまり勝つこともできていないが、「勝つことが全てじゃないですから」と語る。「負けから色々なことを考えて、自分たちで何が足りないのか、その課題に取り組んでもらうほうが社会人になった時も生きると思うんです」。練習して、上手くなって終わりというわけではない。野球を通じて、子どもたちの主体性も育んでいく。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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