栗山ジャパンの“奇策”一塁手不在は吉と出た? 好守の牧が「三重殺」で初陣快勝
村上の4番こそ決めていたが…他は変幻自在な栗山ジャパン
栗山監督は今回の代表で、シーズン56本塁打するなど日本を代表する打者となった村上を4番打者で起用することは決めていたのだという。「4番を背負うというよりも、野球界を背負ってほしい。誰もわからないところ、もっと上に(成績の)天井がある、皆さんをびっくりさせることをこれからずっとやってくれると信じている」という思いからだ。ただ、このチームが成功するか否かは、ひとりでさまざまな役割をこなせるいわば“脇役”たちの働きにかかっているようにも見える。
「WBCでは本当にいろいろなことが起こるので……。全てのことを経験して、これ初めてですよねとか言っている時間はない。いまのうちに、経験するところは経験してもらいたい」
他に中野拓夢内野手(阪神)も、プロでの2年間で18試合しか守っていない二塁に据えた。栗山監督は「センターラインの重要性は分かっていますが、メンバー(人数)が入れない。昨日から中野にはいろんな事をやらせてもらうという提案はしていたら、大丈夫ですと言ってくれて……」と、ジョーカーとしての適性を見ている。
日本ハムの監督時代には、常に野球のことを考え続けていると言ってやまなかった指揮官が、勝負師の顔へ戻った。この4試合、まだ動いて、動いて、動きまくるはず。好プレーの牧もWBC代表へ向けての思いを「自分も入れれば入りたい。この4試合は大事。まだまだ大事」と口にする。指揮官の奇抜にも見える要求に答え続けた選手が、世界に挑む資格をつかむ。
(羽鳥慶太 / Keita Hatori)