徴収した罰金を“結婚式の祝儀”で返還 鉄拳制裁も辞さぬ星野仙一監督にあった信念

思い出す星野監督の言葉「俺は俺がやってきたことを全部否定する」

 それにしても、なぜあそこまでできたのか。早川氏が思い出すのは「俺は俺がやってきたことを全部否定する。わかりやすいだろ」という星野監督の言葉だ。現役時代の星野仙一投手はアウト。すべてはそこから始まっていたという。「例えば、星野さんは先発してKOされたら、試合中に球場から引き揚げていたけど、監督になったら勝とうとしているヤツがいるのに帰ったらいかんやろ、ベンチに残って応援しろ! って。そんな感じで……」。

 投手・星野は、先発でなくベンチ入りせずに帰れる“上がり”の日のとき、中日戦が行われているにもかかわらずプロレスを見に行ったことがあった。「しかもテレビのプロレス生中継でリングサイドにいる星野さんがバッチリ映ったんですよ」と早川氏は笑い話として明かしたが、もちろん、監督時代にそんなことをした選手がいたら、それこそ大変な目にあっていたに違いない。

 そんな指揮官の試合後ミーティングは、いつもすさまじい闘気に包まれていた。あの3冠男・落合博満に対しても容赦なかったという。なぜ、落合は怒られたのか。早川氏はそのときの模様を明かすとともに、それとは別に忘れられない闘将の姿があるという。キーワードは土下座と涙だった。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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