高校教師を辞め野球指導者へ　米国で覆された日本の常識、習得した独特な練習法

野球スキルコーチ菊池拓斗氏　指導に制限がある環境に疑問を抱き渡米

　少年野球の子どもたちに知識や技術を伝えている野球スキルコーチの菊池拓斗さんは、高校の教師を辞めて米国で技術指導を学んだ。バットを抱えた状態で強いスイングを身に付ける“独特”な練習方法には目を奪われる。限られた選手にしか指導できなかった教師時代と違い、1人でも多くの選手が野球を好きになり、上手くなるきっかけをつくろうとしている。

　選手の頃は当たり前に受け入れていた野球の常識に違和感を抱いた。野球の指導をするために教師となり、その目標を実現させた。しかし、菊池さんはモヤモヤした気持ちで毎日を過ごしていた。

「学校の先生をしていると、なかなか自分が思うような指導をするのが難しいのが現実でした。今のまま野球を教えていても、野球をする子どもが減っていく現状は変わらないと感じました」

　大学まで野球をしていた菊池さんは、地元・福島で高校の教師になった。部長として希望していた野球部に携わったが、日々、疑問が大きくなっていく。

「教師は部活以外の業務もあるので、野球に割ける時間は限られています。負けたら終わりのトーナメントなので勝敗に対してピリピリしてしまいますし、他の学校の選手の指導もできません。もっと本格的に野球の指導をしたい、福島県中の子どもたちに野球を教えたいと思いました」