FA千賀滉大の希望は「勝てるチーム」 代理人が惚れ込んだダルビッシュと重なる姿
ダルビッシュ、鈴木誠也らが顧客 千賀への深い敬意「磨き上げスターに」
ウルフ氏は、ダルビッシュ有、鈴木誠也、筒香嘉智、有原航平をクライアントに持ち、過去には松井秀喜(現ヤンキースGM特別アドバイザー)獲得のスタッフの一人として尽力した。日本人選手の売込みの術を心得ており、米大手エージェント会社「ワッサーマン・メディア・グループ」で野球部門の代表を務める。現役時代は一塁手兼外野手としてマイナーで6年間プレーし、選手の心情に寄り添える人物。カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)で学士号、ロヨラ・ロースクール・ロサンゼルスで法学博士号を取得している。勉学と野球に地道な努力を積み重ねてきただけに、プロとしての千賀の歩みに深い敬意を表する。
「甲子園を沸かせた貴公子で、ドラフト1位指名されたわけではない。彼は育成ドラフトで指名された日本人選手として初めてメジャーに来ることになる。何もないところから粉骨砕身して自分自身を磨き上げ、スターになった。我々が持つ彼への敬意は計り知れない」
さらに、動作解析、データ分析から開発した科学的根拠に基づく独自のトレーニング法を構築したシアトル郊外の「ドライブライン・ベースボール」で、千賀がオフに指導を受けたことにも触れ、希望するチームは「大都市の勝てるチーム。地域は限定しない」とした上で、こう付言した。
「彼が優先したいのは、投手としてより向上でき、メジャーリーグで成功を収めるためのデータを提供してくれるスタッフが揃う“勝てる”チームだ」
千賀は、投手としての極みを求める場としてメジャーの舞台を選んだ。ウルフ氏は「ダルビッシュがセンガに一目置いている」と言う。目的先行型の純真な欲求を持つあたり、常に自分で考えさらなる高みを目指すための研究と試行錯誤を重ねるダルビッシュ有の姿勢にピタリと重なってくる。
正面に受けたジョエル・ウルフ氏のブルーアイズの眼光に自信の程が映る。千賀滉大の投手としての高い能力と人間性に魅せられた辣腕代理人が、右腕を理想のチームへ導くのにはそう時間はかからないであろう。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)