135球完投&殊勲打 決勝進出…東海大菅生エース右腕が両親に果たした“約束”
東海大菅生ナインは決戦前日の11日夜に剃髪、日大三との試合に臨んだ
秋季東京都高等学校野球大会は12日、神宮球場で準決勝2試合が行われ、第2試合では東海大菅生が日大三に3-2で競り勝ち、13日の決勝進出を決めた。先発の日當(ひなた)直喜投手(2年)が投打に活躍した。
チーム全員で試合前日の11日夜に“剃髪”し、この一戦を迎えた。昨年の秋季大会では、日當だけが気持ちを入れるために髪の毛を剃って臨んだものの、準々決勝で日大三に敗れた。
今回は気持ちを一つにするためにチーム全員で頭を丸めようと、若林監督に頼み込んだ。指揮官は「驚いた」と明かしながらも「強制したわけでもないし、時代に逆行しているかもしれないけど、僕はいいことだと思う」と選手の意思を尊重した。
試合は、気合十分の東海大菅生が3回にクリーンアップの3連打で先制。その裏に日當が2ランを浴びて逆転されたが、同点で迎えた8回2死1、2塁で、9番・日當が勝ち越しの左前適時打を放った。
打撃は得意ではないというが、前日11日が結婚記念日だったという両親に電話で「明日は、たまには自分で打って勝つ」と宣言していた。家族が見守る中、チェンジアップを捉えた殊勲打。若林監督は日當の安打を「1億円の宝くじが当たった感じ」とユーモアたっぷりに称えた。
日當は8回に走者を2人出すも無失点。9回も1死一、二塁のピンチを背負ったが、遊ゴロ併殺打に抑えた。「『心は燃やして、頭は冷静に』と監督さんに教えてもらったので」と、心を乱すことなく135球完投を果たした右腕。エースの力投で昨秋の準々決勝、今夏の決勝で敗れた日大三を破り、頂点までいよいよあと1勝だ。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)