藤浪晋太郎はMLB移籍が「吉と出る可能性」 沢村賞右腕・遠藤一彦氏が指摘する復活のポイント
遠藤一彦氏が解説…藤浪は「160キロを投げようとするから大暴投を放る」
プロ野球界では以前に比べて投手の球速アップが目立つ。150キロ台のストレートを投げる選手はどの球団にも多数存在しているが、その分、毎年のように故障、離脱、手術に踏み切る選手も少なくない。技術向上の裏側で、なぜ、壊れる投手が増えているのか。かつて2度最多勝(1983、84年)のタイトルを獲得し、沢村賞(1983年)にも輝いた大洋の大エースで野球評論家の遠藤一彦氏は「スピードガンと野球をやっているからだと思う」と警鐘を鳴らした。
「壊れる原因は投げ方にあると、私は思っています。基本的に体に負担のかかる投げ方をしていれば、当然壊れます」。遠藤氏はこう言い切った上で、スピードガンとの関係を説明した。「みんな150キロを投げたがって、そういう投げ方をしている。力いっぱいなら150キロが出ると思っているんじゃないですか。それが常時出るんだったらいいですけど、そうじゃなければ、そりゃあ壊れますよ」。球速ばかりを追いかけることが大きなマイナスになっているとの見方だ。
「体が動く時はそういうボールが投げられていても、疲れてきたら、その体の使い方ができなくなってくる。いかに疲れた中で、それなりのボールを放るかっていうのが投げ方だと思う」と遠藤氏は解説する。「よくMAX155キロとかいうけど、MAXって1球じゃないですか。先発ピッチャーは100球前後投げる。155キロのボールを100球とも放れればいいけれど、それは不可能。150キロを投げられるけど、145キロが一番いいと思ったら、それでいったらいい。常時出せるスピードが私はベストだと思います」。
そんな中、遠藤氏は制球面が絶えず課題の阪神・藤浪晋太郎投手について「彼の場合は152、153キロが一番いいボールじゃないですかね」と指摘した。「160キロを投げようとするから、大暴投を放る。上半身の力を使って目一杯放ろうとしたら、どうしても抜けますよ。だけど150キロでいいんだと思ったら、たぶん一番いいボールがいっていると思う。キレのいいボールをしっかり放れたら、いくらでも抑えられますよ」。藤浪は今オフ、ポスティングシステムを利用してのメジャー移籍を希望しており、「面白いんじゃないですか。彼にとっては吉と出る可能性もありますよ」とエールも送った。