選抜当確…慶応高の“言葉の力” 清原勝児の満塁弾呼んだ「センター返しは恩返し」

「センター返しより恩返し」は「自分に刺さった言葉でした」

 試合後の取材で、面白いフレーズを口にした。「センター返しを意識した結果のホームランです。『センター返しは恩返し』なので」

 思わず、「え?」と聞き返してしまった。そんな言葉は初めて聞いた。

 新チームが始まるときに、寺井幹太が提案したフレーズだそうだ。「自分に刺さった言葉でした。両親、仲間、指導者、すべての人への恩返しです」。

 今年のチームスローガンは、『鯉の滝登り』にかけた『他喜昇り』。「他人を喜ばせたい、恩返しをしたいと思う気持ちこそが、最大のパフォーマンスにつながる」という想いから、『他喜』の二文字を入れている。

 森林監督は、言葉の重要性をこう語る。「全員で共有できる言葉があることで、チームがひとつになる感じがあります。目には見えないですけどね。だからこそ、私自身も言葉の力をもっと磨いていかなければいけないと思います」。

 来春の選抜に向けて、どんなフレーズが生まれるか。新しい言葉との出会いをまた楽しみにしたい。

(大利実 / Minoru Ohtoshi)

○著者プロフィール
大利実(おおとし・みのる)1977年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、スポーツライターの事務所を経て、フリーライターに。中学・高校野球を中心にしたアマチュア野球の取材が主。著書に『高校野球継投論』(竹書房)、企画・構成に『コントロールの極意』(吉見一起著/竹書房)、『導く力-自走する集団作り-』(高松商・長尾健司著/竹書房)など。近著に『高校野球激戦区 神奈川から頂点狙う監督たち』(カンゼン)がある。

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