吉川尚輝は「なんで、というのが多い」 急成長も…元巨人の名手が指摘する“課題”とは
篠塚和典氏「普通に処理できたものをエラーする数は減らさなければ」
元巨人の篠塚和典氏は現役時代に2度首位打者に輝き、通算1696安打、通算打率.304をマーク。5度のベストナイン、4度のゴールデン・グラブ賞に輝くなど、天才的な打撃と華麗な二塁守備で知られた。かつての名手は現在の「ナンバーワンセカンド」を誰とみているのか。
「セカンドのナンバーワン? それは(広島の)菊池(涼介)ってみんな挙げるんじゃないかな」と篠塚氏は即座に答えた。今年で10年連続ゴールデングラブ賞を受賞した名手に敬意を表しつつ「もうちょっと確実性というか、楽に捕れるようにというか……その方が見ている人も安心感があるんじゃないかな」と注文も付けた。
広い守備範囲で、難しい打球を処理するスーパープレーも多い菊池涼。「もう少し年齢(現在32歳)もきたら、それもきつくなってくるものだしね。もっと落ち着いてっていうか」とも話した。ただ、菊池涼に迫る二塁手がスッとは出てこないのも事実ということだろう。「やっぱりナンバーワンは菊池ってことになるんでしょうね」とうなずいた。
では、巨人の後輩二塁手・吉川尚輝についてはどう見ているのか。「良くなってはきているよ。守備位置も自分で動いてやっている。このピッチャーに、このバッターだったら、この辺がいいというのが、だんだんわかってきたんじゃないかな」。ただ、一方で「ポカが多いよね。ここという時とか、なんでっていう。ゲッツーの捕り方もそうだしね。もう少し安定感があっていい。スローイングもそう。とにかく、なんでっていうのが多すぎるよ」。
今季の失策数は菊池涼やヤクルトの二塁手・山田哲人が「3」で、吉川は「11」。守備範囲の広さは菊池涼に匹敵するほどだが、まだまだ安心して見ていられないということだろう。その力があると見ているからこそ、もうワンランク上にいくために、さらに壁を破ってほしいと願っている。
「やっぱり気になって見ちゃうからさ」と篠塚氏。「エラーはつきものなんだけど、それが自分で普通に処理できたボールなのか、難しかったボールなのかってこと。普通に処理できたものをエラーする数は減らさなければならない」。巨人の後輩二塁手へ熱いエールを送った。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)