台湾連覇の中信…元阪神勢が牽引 林威助監督支えた平野コーチ、元助っ人が抑えで躍動
年間勝率1位もシリーズ敗戦の楽天指揮官「悔しさをモチベーションに…」
勝利チームの優秀選手には、ドミニカ共和国出身の捕手、フランシスコ・ペーニャが選出された。外国人捕手の優秀選手受賞は初の快挙。後期シーズン優勝の立役者として高く評価され、プレーオフ、シリーズでは外国人枠が1枠減る中、引き続き登録された。第3戦での勝利を決定づける2点タイムリーなどバットでの貢献もあったが、打撃成績は15打数3安打。それよりも好リードと強肩で投手陣を牽引、グラウンド内の指揮官として活躍したことが高く評価された。
父は母国の英雄で、自身もメジャーで5年のキャリアを持ちながら、外国人枠の問題で約3か月間、2軍暮らし。それでも腐ることなく、若手に自身の経験をシェアするなど、真面目で明るいキャラクターでチームに欠かせぬ存在となった。名前のフランシスコの音に縁起のいい漢字が充てられ、「福来喜(フーライシー)」で登録されたが、まさにチームに幸福や喜びをもたらす存在となった。
年間勝率1位の楽天は、今シリーズでは最後まで流れをつかむことができなかったた。優勝した前期に続き、後期もロケットスタートを切り、前後期連続優勝の場合はシリーズで1勝のアドバンテージを手にできたが、後期中盤から失速。破竹の快進撃をみせた中信兄弟にかわされると、シーズン終盤は投手陣を中心に怪我や疲労によるパフォーマンス低下が見られ、仕切り直しの短期決戦でも本来のチーム力を取り戻すことができなかった。
曾豪駒監督は目に涙を浮かべ、細かいプレーでミスが出たことは来季に向けた修正ポイントだと話した。そして「前期シーズン優勝、年間勝率1位を成し遂げた選手達を誇りに思う。シリーズで勝てなかったことについてはファンの皆さんに申し訳なく思う。この悔しさを来季のモチベーションとしたい」と雪辱を誓った。敗戦チームの優秀選手には通算16打数6安打、.打率375と活躍した陳晨威が選ばれた。
1軍参入2年目でプレーオフ進出を果たした味全ドラゴンズ、歯車が噛み合わず低迷した一昨年王者の統一、そして前期は歴史的不振も、後期は復調し3位に入った富邦ガーディアンズと、来季はこれらの3チームも巻き返しを狙ってくるだろう。2024年シーズンからは第6の球団「台鋼ホークス」が1軍に参入する。5球団体制最後の来季、各チームの戦いぶりが今から楽しみだ。
次回は、中信兄弟のシリーズ制覇を支えた平野恵一・打撃兼野手統括コーチのインタビューをお届けしよう。
(「パ・リーグ インサイト」駒田英)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)