苦渋の立浪監督「お前、変わらんかったな」 中日去る京田が受け取った“最後の親心”
立浪監督から告げられたトレード「横浜が欲しがってるから」
秋風吹くナゴヤ球場。監督室で、立浪監督と向き合った。「トレードな。横浜が欲しがってるから」。伝えられた事実に、思いのほか驚きはない。淡々と諭すような指揮官の口調は、むしろすっと胸の奥に届いた。
「ずっと頑固やったな。なんでそんなに頑固なんや? 去年の秋から言ってきたけど、お前変わらんかったな」
異論はない。変われなかったのは自分。むしろ、一野球人として環境を変える決断をしてくれた立浪監督の“親心”に感謝した。その場で多くの言葉を発することはせず、「ありがとうございます」と一礼して監督室を出た。
後ろ髪を引かれる思いがないといえば嘘になる。名古屋に住み、結婚し、2人の子宝に恵まれた。ナゴヤドームのスタンドを見ると、背番号1のユニホームがよく目に留まった。選手会長を務めて3年。低迷期からの脱却は果たせず、志半ばで竜を去る。
新天地は横浜。家族4人での引っ越しを含め、忙しいオフになる。「必要とされるところでやれるのはうれしいです」。なりふり構わず、遊撃の定位置を狙いに行く。来年で29歳。この1、2年がプロ人生を左右する。「最後のチャンスです」。トレードの重みを噛み締め、新たなユニホームに袖を通す。