2軍生活の悲哀を思いに…巨人で歌い継がれた伝説ソング 作詞者は18歳だったV9戦士

鬼の寮長や当時の2軍監督は歌詞に“実名”で登場

 柴田氏は、熱血指導で“鬼”とも呼ばれた武宮寮長と「しょっちゅう喧嘩をしていました」と回想する。3番の歌詞はこうだ。「朝は八時に起こされて 廊下の掃除や拭き掃除 三度の食事も二度一度 挙句は食うなと怒鳴られる」。

 当時の合宿所は古い木造2階建て。すきま風が吹き込んで砂が入り、廊下はザラザラ。拭いても拭いてもキリがない。柴田氏はバケツの水を一気にまいた後にモップで拭いた。武宮寮長が「誰だ、きょうの当番は? まだ汚いじゃないか。ちゃんと拭いてないだろ」と声を荒げれば、「いや、拭きましたよ。もともと汚い。なんぼ掃除しても汚いんです」と突っかかる。寮長が「この野郎、お前あと3日間当番だ」と返しても、平然と「いいですよ」とバケツの水をまき、同じ事を繰り返した。

 夕食の時刻は、お昼が練習時間の2軍選手に合わせて午後6時。しかし、1軍の柴田氏はナイター帰りのため帰宅は午後10時頃。食事は冷たくなっている。若気の至りで「何だ、こんな飯。巨人軍がこんなまずい飯をよく出すな」と口走ったところ、武宮寮長は「嫌だったら食うな」。それでも「わかりました。食べません。外へ行って食べてきます」と応じた。

 歌詞には「武ちゃん」「鬼の寮長」に加え、中尾碩志2軍監督の愛称の「つりちゃん」と“実名”が出てくる。迎えた年末の納会。柴田氏は満を持して本人たちの前で披露した。「2人とも嫌な顔をしてたんじゃないですかね」と悪戯っぽく懐かしむ。「でも聴いている人たちも、みんなお酒を飲んでいたから全然覚えてないんじゃないかな」。

最後の8番では激しいサバイバルを綴った

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