戦力外なのに「おめでとう」 心の病で自ら責めた日々…ムネリンがくれた“救い”

元中日・滝野要氏【写真:小西亮】
元中日・滝野要氏【写真:小西亮】

自主トレで寝食を共に「否定されないのがありがたかった」

 2022年1月。鹿児島での合同自主トレで、川崎と寝食を共にした。練習はもちろん、汗を書いたら一緒に銭湯に行き、夕食では野球談議に花が咲く。「頑張れ」とも「このままじゃダメだ」とも言われない。「否定されないのがありがたかった」。

 結果だけ見れば、プレーには還元できなかった。4年間で59試合に出場し、打率.174(46打数8安打)、0本塁打0打点。今季限りで戦力外となった。褒められたプロ野球人生ではない。「単純に自分が弱かっただけだと思ってます」と現実を受け止める。

 川崎に報告すると「NPB卒業おめでとう!」との言葉が返ってきた。苦しんできた日々が認められたようで、自然と胸を張る。引退後の人生の方がはるかに長い。野球を嫌いになる前に現役に区切りをつけられたことは、むしろ幸運だと思えた。

 プロ失格の烙印である戦力外は、次のステップの始まりでもある。「僕なりのやり方で、野球に恩返しがしていきたい」。ムネリンからの祝福を心に刻み、力強くセカンドキャリアを歩いていく。

○著者プロフィール
小西亮(こにし・りょう)
1984年、福岡県生まれ。法大から中日新聞社に入社。石川県や三重県で司法、行政取材に携わり、中日スポーツでは主に中日ドラゴンズやアマチュア野球を担当。その後、「LINE NEWS」で編集者を務め、独自記事も制作。2020年からFull-Countに所属。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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