今の巨人は「過渡期」「底にいる」 原監督の“元参謀”が一刀両断…来季浮上の条件は
貯金3つでは「エースじゃない」、岡本は「弱い面が出たのでは」
投打の柱も物足りなかった。菅野智之は10勝にこそ到達したものの7敗を喫した。「貯金が3つでは……。今年の菅野は勝ったり負けたりという感じでしたね。エースじゃない。エースはいかに負けないかが大事」。
昨年まで2年連続2冠王の岡本和真も5年連続30本塁打はクリアしたが、ヤクルト・村上宗隆内野手に全てで追い抜かれた。8月途中からは4番が“指定席”でなくなった。「成績うんぬんよりも4番の座を守れなかったことが良くなかった」。現役時代に4番を担った原監督にも尋ねたという。「本当のところは教えていただけなかったが……。4番は数字だけではない。何か成績以外の理由があるはず。多分、すごく弱い面が出たんだと思う」と推察する。
来季への課題は何か。「野手は怪我なく普通にやってくれればいい。要はピッチャーでしょう」と即答する。今季チーム防御率はリーグワースト。「防御率が一番悪くて優勝するなんてあり得ない。野球は試合において8、9割は投手で決まる」。菅野、今季チーム勝ち頭12勝(8敗)の戸郷翔征投手で、合わせて15以上の貯金は欲しい。今のところ先発で計算できるのは、この両輪しか見当たらない。優勝争いに加わるには、最低でも2人は2桁勝てる投手の補強が必要と見る。
岡崎氏はヘッド就任1年目は3位。2年目の12年に原監督を日本一に押し上げた。その12年はDeNAから村田修一内野手、ソフトバンクから杉内俊哉、ホールトン両投手が加入した。2人の投手は2ケタ勝利を挙げ、優勝に貢献。「村田も非常に大きかった。だけど、杉内、ホールトンがいなくて村田だけだったら、絶対に優勝できていません」。自身の経験も踏まえ、先発投手陣の重要性を強調する。
巨人は菅野、チームリーダーの坂本勇人内野手が30代半ばにさしかかっている。「チームというのは、ずっと強いチームが強いわけではなく、ある程度バイオリズム的な選手の流れがある。ジャイアンツは今、底に近い状態です。選手を入れ替えている時期、過渡期にあることは間違いないです」。
現状のまま戦えるのか。「今年は原監督が若手を抜てきして育てて、その選手たちが5、6月まで頑張った。普通に考えれば、来年は経験値があるから良いところまでは行くでしょうが……。最後まで行くのには、もう1年かかるかもしれません。本当に戦えるのは再来年という気がします。ただ、チームというのは絶対的な1人の力で変わる時がある。それが投手であってもそうですし、3冠王を取るような外国人が来れば、来年だってわかりませんよ」
原監督は来シーズン監督通算17年目を迎える。各球団とも優勝するためには「監督の能力というのはあるんだろうけど、でも選手の力が当然大きい。九分九厘選手の力。同じぐらいの能力のドライバーが車に乗ったら、フェラーリと軽トラックなら絶対にフェラーリが勝つんです」と岡崎氏。選手の奮起と球団のバックアップで、原監督が手腕を発揮できる戦力が整うかどうか。