DeNA伊勢「意外に体は大丈夫」 両リーグ最多71試合も「そこまで負担なかった」理由
残留の山崎康晃を「いつか超えたい」、ブルペン内競争激化へ
DeNAの伊勢大夢投手が11月30日、契約更改交渉に臨み、今季年俸2760万円の約3.3倍にあたる年俸9200万円(金額は推定)でサインした。セットアッパーとして今季両リーグを通じ最多の71試合に登板し、防御率1.72の好成績をマーク。前日には、メジャー挑戦の可能性があった守護神・山崎康晃投手が6年契約を結び残留決定。来季はリリーフ陣のさらなる充実が見込めそうだ。この日、今季18試合1セーブ、防御率2.57でリリーバーとしての可能性を感じさせたブルックス・クリスキー投手と来季契約を結ばないことを発表したのも、余裕の表れかもしれない。
今季のセ・リーグ登坂数ランキングを見ると、最多が伊勢の71試合、2位がエドウィン・エスコバー投手の70試合、5位には57試合の入江大生投手、8位にも56試合の山崎がいて、一見DeNAのリリーフ陣は酷使されているようにも思える。しかし、伊勢は「意外に体は大丈夫でした。監督やコーチに心配してもらい、3連投はほとんどせず、2連投したら1日休みをいただいたりと配慮していただいた。今も体は回復しつつありますし、そこまでの負担はなかったのかなと思います」と首脳陣に対し感謝を口にした。
確かに伊勢は今季、2日連続登板は13度、3日連続は1度。一方、7月9日に敵地・東京ドームで行われた巨人戦では、前日まで3連投の山崎の登板を避けるため、伊勢が8回2死から今季唯一の回またぎをこなし、プロ初セーブを挙げた。
こうして負担の集中を避ける起用ができるのも、リリーフ陣に豊富な顔ぶれがそろっているから。今季、通算42セーブの三嶋一輝投手が国指定の難病である胸椎黄色靭帯骨化症を患っていることが発表されたのは、衝撃的で残念だった。それでも、エスコバーは相変わらずのタフネスを発揮し70試合で防御率2.42をマーク。2年目の入江は57試合3.00、左腕の田中健二朗投手も47試合2.63と圧倒的な安定感を誇った。さらに来季へ向け、6月に支配下登録を勝ち取った左腕の石川達也投手、ドラフト5位で獲得した慶大の守護神・橋本達弥投手らの台頭も期待される状況だ。
伊勢は山崎の残留に「うれしかった。目指してきた選手がまだいてくださる。まだ学ばせていただける。いつか超えたいという思いはずっとあるので、背中を追って超えていければと思います」と語った。ブルペン内の競争激化は、全体のレベルアップにつながるはずである。来季は1998年以来25年ぶりのリーグ優勝&日本一へ向け、言い訳も“待った”もなしのDeNA。「みんながチャンスだと思っている。全員でつかみ取りたい」と伊勢の鼻息も荒い。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)