楽天のメジャー130発大砲獲得は最適な補強か? 大変革が必要な12球団最悪の“穴”
新加入発表のフランコはメジャー通算130発誇る大砲
楽天は1日、今季はナショナルズでプレーしたマイケル・フランコ内野手を獲得したと発表した。ドミニカ共和国出身のフランコは、メジャーリーグ通算130本塁打を記録している大砲。どのような起用法が見込まれるのか。そしてチームの弱点に沿った補強なのだろうか。
セイバーメトリクスの指標で分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを基に検証してみた。ここで用いるのは、平均的な打者が同じだけの打席に立った時と比べ、どれだけ得点を増減させたかを見る「wRAA」という指標だ。
今季楽天の内野はこの数値が34.3で12球団中3位。ヤクルト、ソフトバンクに次ぐ数字を残した。ただポジション別に見ると、攻撃力から見たチームの「穴」が見えてくる。
本来、得点源となる選手が座るはずの一塁手が、-12.7で12球団最下位なのだ。二塁は浅村栄斗内野手が座り、25.1でDeNAに次ぐ2位(パ・リーグではトップ)。三塁は2.2で7位(パではロッテの6.2に次ぐ2位)、遊撃は-6.8で6位(パではソフトバンク、日本ハムに次ぐ3位)、指名打者は8.7でソフトバンク、オリックスに次ぐ3位となっている。
フランコはメジャーリーグで主に三塁を守り、6度の2桁本塁打を記録した大砲だ。三塁は通算855試合守っている一方、一塁は19試合しか守っていない。今季楽天の三塁は茂木栄五郎内野手が63試合、鈴木大地内野手が55試合守っている。ここにフランコが入ると茂木は遊撃、鈴木は一塁といった経験のあるポジションとの兼務になるだろう。
フランコが指名打者に入るようだと、2年目を迎えるクリス・ギッテンス内野手との競争も発生する。また懸案の一塁の攻撃力不足を埋める存在として、中日から移籍する阿部寿樹内野手がいる。阿部が二塁に入れば、浅村は西武時代にも経験のある一塁に回せる。フランコと阿部の加入で大幅に厚みを増した楽天の内野は、地殻変動が避けられなさそうだ。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。