妻の病気に愕然も「これだけは…」 元オリ戦士の壮絶体験、借金して挑んだ国家試験
開業後に妻のガン転移が発覚「一番しんどかったですね」
そんな状況下で学校を卒業し、国家試験にも合格。「女房もそれまでに手術してガン細胞をとって落ち着いていた」。いよいよ開業へ向けて動き出した。「資金も免許を持っていたことで銀行が貸してくれた」。ようやく、ここまで来た。少しずつ未来が見えてきた。だが、またもや予期せぬ事態が起きた。「女房のガンが肺に転移したんです」。
もはや、気が休まることはなかった。「開業したけど、病院に行かなければならないし、女房の世話だけでなく、子どもを学校に行かせたり、弁当も作ったり……」。抗がん剤などの治療費のやり繰りもあったし、一人二役どころか三役も四役も。周囲の手助けなしではどうすることもできなかったという。「知人に手伝ってもらって、作ってもらったのを食べさせたり、食べたり……一番しんどかったですね」。
2022年、南牟礼氏は「みなみむれ接骨院」で多くの患者に寄り添っている。「腰痛、首痛などの痛みの治療」「特殊温熱療法」「ソニック治療」……。さらには専門の「Baseball CLINIC」、長友佑都も取り入れている「KOBA式体幹☆バランストレーニング」など様々な手法もレクチャーしている。
振り返ればいろんなことがあった。「あの時、もしも……」と考えることもある。それを含めて人生。悲しいことを一生懸命乗り越えようとして今があるのも事実だ。だが、同時にどうしても納得いかないこともあるという。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)