「きょう、イチローさん来たよな?」 帰宅後も夢見心地の球児…「イメージ変わった」
静岡・富士高を直接指導のイチロー氏…誰よりも大きな声で雰囲気一変
マリナーズで会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏が、2日間に渡って静岡・富士市の県立富士高を訪れ、野球部を直接指導した。高校生にとっては、日米通算4367安打を誇るレジェンドとの“夢の時間”。同高野球部の中澤樹主将は、イチロー氏に対して抱いていたイメージが全く変わった2日間だったという。
2日間の指導を受けた中澤は「まだ気持ちが追いついていない部分もあるんですけど、本当に人生の中でも間違いなくいい思い出」と振り返った。イチロー氏の来訪は選手には知らされておらず、初日は家に帰っても「きょう、イチローさん来たよな?」と感情がついていかない状態だったという。
イチローは動画サイトやテレビの向こうにいる遠い存在だった。2009年のWBCで放った優勝を決める一打は印象にあり「野球に対してクールで、寡黙で」というイメージを持っていたという。それが2日間で大きく変わった。「もちろん、野球に対して取り組む姿勢はものすごくて、勉強になったんですけど、野球じゃないところですごい明るくて、声も一番、大きい声を出していたり、そういったイメージが、真逆っていうくらい変わりました」と話す。
富士高野球部にとって、チームの元気がないのは大きな課題だった。中澤も「秋の大会や練習試合でも負ける時って、雰囲気が悪くて負ける。そこで、きょうみたいな雰囲気でできた経験がほとんどなかった」と振り返る。イチロー氏はノックの中でいつも「さあ来い!」と大きな声を出し、ベースランニングの前にも大声を上げていた。「これぐらいの感じ。声を出したら気持ちよくない? 筋肉も萎縮しない。そういう時間をつくると効果的」と選手たちに語り掛けていた。
2日間のイチロー塾を終えた中澤はチームの空気が一変したのを実感しているようだ。「イチローさんに変えてもらったので、自分たちで変えた、というところもあると思うので、ここからイチローさんがいなくても、チームとしてそういう雰囲気つくりをしていきたいと思います」と今後を見据える。
もう、夏への戦いは始まっている。「イチローさんはずっと結果を見ているからね、と言ってくれたんですけど、結果を見なくても、周りから「あそこ、頑張っているよ」と言ってもらえるぐらいの成績を残したいと思います」と中澤。結果で大打者に恩返しするつもりだ。
(Full-Count編集部)