現役ドラフト開始直後「ホテル来れる?」 同僚たちと“予想”…的中した移籍通告
中日からDeNA移籍、笠原祥太郎「あるなとは思っていた」
昼過ぎにスマートフォンが鳴った。相手は球団幹部。その時点で、大体は理解できた。プロ野球初の試みとなる「現役ドラフト」が開催された9日。一挙12人の選手に移籍が告げられた。中日の左腕・笠原祥太郎投手もそのひとり。「あるなとは思っていました」。予感はしていたものの、いざ当事者になると驚きは隠せなかった。
高校時代は全くの無名だったが、進学した新潟医療福祉大で急成長。2016年のドラフト4位で中日から指名を受けた。新潟県の大学から社会人を経ずにプロ入りした“1号”に。チェンジアップは一級品で、2年目の2018年は20試合に登板し、6勝4敗と台頭した。
翌2019年には開幕投手の大役を務め、4月まで無傷の2勝。しかし、大学時代から自覚症状のあった不整脈の治療で入院。大事には至らなかったが、離脱した焦りもあってシーズン8試合登板にとどまった。2020年は故障もあって1軍登板ゼロ。今季も4試合登板で、戦力外も覚悟した。
なんとか生き残ると、今度はチームメートたちの間で自然と現役ドラフトの予想が始まった。チームは今オフ、主力だった京田陽太内野手と阿部寿樹内野手を相次ぎ放出。「そういう状況を考えると、あるならピッチャーなのかなと。メンバー的には僕が入ってもおかしくないなとは思いました」。とはいえ、自分でできることはない。黙々と練習を続けながら、運命の9日を迎えた。
午後1時に始まったのは知っていた。1時間が経過したかどうかというタイミングで着電。「ホテル来れる?」。指定された場所に急いで向かい、球団代表と面談。DeNAから指名があったことを伝えられた。