止まらぬ日本ハムからのFA流出 「卒業」は過去の話、後釜不在で開く“大穴”
FAによる主力流出さえチーム強化に利用していた日本ハム
日本ハムから海外FAを宣言していた近藤健介外野手のソフトバンク入りが、12日に発表された。元所属の日本ハムを含めたパ・リーグ5球団による大争奪戦を制した形だ。日本ハムにとって選手の国内球団へのFA流出は、2017年オフの大野奨太捕手(中日)と増井浩俊投手(オリックス)以来、5年ぶりとなる。
日本ハムからのFA流出は、海外への移籍を含めこれで15人目。12球団最多の20人を流出させている西武ほどではないが、かなり多い。ただ、日本ハムは過去のFA流出を、大きな“痛手”とはしてこなかった歴史がある。後釜をしっかり準備していたのがその理由だ。
球団が掲げる「スカウティングと育成」をベースに、選手の成長サイクルがしっかりと回っていた。後釜が準備されていることが多かったのだ。時には意図的にポジションを空け、競争の中から若手の成長を促す余裕まであった。FA宣言した主力を、他球団とマネーゲームをしてまで残す必要はなかった。FA移籍は「卒業」とまで見られた時期もある。
ただ、近年は少し様子が異なるようだ。日本ハムは今季、9年ぶりの最下位に沈んだ。4年連続のBクラスで、今季のチーム得点463はリーグ最低。その中から屈指の巧打者が抜ける。しかも主に守ってきた外野には期待株こそいるが、レギュラー不在という状況だ。引き止めがかなわなかったのは、大きな痛手となりうる。
近年、FAで国内他球団に移籍した主力野手と、その“後釜”を見てみよう。2010年には森本稀哲外野手が横浜へ移籍した。この年、森本は外野を114試合守り、これは糸井嘉男外野手の138試合に次ぐ数字だった。ただ翌年は、3年目の中田翔外野手が左翼の定位置を得て139試合に出場。4番打者へと成長していった。