怒りに震えた指揮官「どういう神経してるんや」 ベンチの扇風機破壊招いた“口ごたえ”
星野監督「タテ、お前、どういう神経しているんや」
立石氏は「何で俺が怒られなきゃいけないんだろう」と思いながら、指揮官の指さす方向を見たら、益田が二塁で止まっていた。「どう考えても三塁に行ける状況だったんでね」。それに闘将は激高していたわけだ。そして、その後、ベンチでさらに怒られ、問題のシーンにつながる。「『お前(走者に)言っとるんかぁ!』ってね。2回言われて、こっちもカーッとなって大きな声で『言いましたよぉー!』って怒鳴り返したんです」。
次の瞬間、闘将は「何ぃ!」と声を震わせ、ナゴヤ球場一塁ベンチ内の扇風機を思いっきり殴りつけた。「扇風機がガタガタガタって落ちました」。珍プレー番組などで、これまで何度も取り上げられた有名なシーンだが「原因は益田ですけど、発端は僕でした」。怒りの炎が燃えさかる星野監督に怒鳴り返したコーチはこれまで誰もいなかった。「それくらい僕も若かったってことです。ヘッドコーチの島野(育夫)さんには『おいタテ、よう言った』と言われました。怒られると思ったんですけどね」。
その試合後のコーチミーティング。星野監督の怒りはまだ収まっていなかった。「2階のコーチ室でみんなシーンとなっている中、星野さんはテーブルをバーンってやって『タテ! 益田にもう1回、言ってこい!』と言われました」。下にいた益田に「こういうこともあるから。経験やから」と話した後、コーチ室に戻り、指揮官に向かって、ものすごく大きな声で「すみませんでしたぁ!」と叫んだ。それで終わったという。
後日、星野さんにこう言われたそうだ。「タテ、お前、どういう神経しているんや。俺とやったらだいたい病気になるか、やせるんやぞ、お前はいっこうにやせんな。その神経、わからんわ」と……。そんな立石氏は1997年で中日を退団し、1998年シーズンから台湾・和信ホエールズのコーチになった。監督の元南海・李来発氏に熱心に誘われた。そこで出会ったのはアレックス・カブレラ。後に西武などで大活躍する大砲だが、実は当時、阪神に紹介していたという。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)