野球を嫌いにさせたら「指導者失格」 岡山庭瀬を学童日本一に導いた“個性と自由”

岡山庭瀬シャークス・中西隆志監督【写真:宮脇広久】
岡山庭瀬シャークス・中西隆志監督【写真:宮脇広久】

たったひとつの信念「野球を嫌いにさせるようでは指導者失格」

 チーム創設3年目の1991年から指揮を執っている中西監督は「私は就任当初から『せっかく野球が好きで入ってきたのに、嫌いにさせるようでは指導者失格』と自分を戒めてきました。子どもたちと楽しく野球ができたら、それでいいと思っていますし、代表(引地代輔代表)も、入ってくる子の親御さんにそういう方針を伝えています」とうなずく。「私自身は高校1年の早い時期に、きつくて長い練習についていけずケツを割った(野球部を辞めた)人間です。今は、小学生のうちに野球の楽しさを覚えて、野球を心底好きになってくれれば、上のカテゴリーへ行って練習がきつくなったとしても、頑張る力になるのではないかと考えています」と胸の内を吐露した。

 一方で「そうは言っても、負ければ悔しい。私たちが厳しい言葉を使わなくても、子どもたちは悔しさから勉強します。このチームは1点差で勝つことも、1点差で負けることも覚えて、少しずつ強くなってきました」と振り返る。

「てっぺんちょ(頂点)までみんなで行こう」を合言葉に最初から全国制覇を目標に掲げた今年、夏のマクドナルド・トーナメントは岡山県予選準決勝で1点差負け。中国地区ナンバーワンの座を争う中国ろうきん杯も準決勝で敗れ、「てっぺんちょ」とはいかなかった。そのうっぷんを、3年ぶり3度目の出場となった今大会で見事に晴らした。5点取られた裏に6点取って逆転──1度勢いづいたら手がつけられない選手たちが“奇跡”を起こし、頂点に駆け上った。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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