小学生が小技「葛藤はあります」 巨人Jr.が見せた強さ…西村監督が語った“未来”

5回に適時二塁打を放ったジャイアンツジュニア・浅見蒼志くん【写真:宮脇広久】
5回に適時二塁打を放ったジャイアンツジュニア・浅見蒼志くん【写真:宮脇広久】

オリックスJr.に5回コールド勝ち

“スモールベースボール”で大勝した。「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2022」は27日、各チームが初戦を行い、神宮球場での第3試合は読売ジャイアンツジュニアが9-0でオリックス・バファローズジュニアに5回コールド勝ちを収めた。送りバント、盗塁、スクイズを絡めた多彩な攻撃が光った。

 まさにそつがない。まず初回に相手捕手のパスボールで先制。続く2回は一挙4得点のビッグイニングとなった。先頭の8番・鐘ケ江勇人くんが放ったライト前への小飛球は、相手右翼手がダイビングキャッチ及ばず後逸。鐘ケ江くんは一気に三塁へ(記録は三塁打)到達した。続く9番・脇元翔太郎くんは、カウント0-1からの2球目に三塁方向へスクイズを決め、一塁もセーフで適時バント安打となった。さらに脇元くんは、次の1番・安藤名和哉くんの3球目に二盗成功。安藤くんが四球を選んだ後、2番・川本琉生くんの2点適時二塁打で安藤くんとともにホームインと、攻撃は切れることがなかった。

 6-0で迎えた5回には無死一、二塁で、相手投手の暴投の間に、二塁走者の鐘ケ江くんが一気にホームイン。その後2死一塁となると、チーム唯一の女子選手で、屈指の俊足でもある関根百花さんが代走で登場。4番・浅見蒼志くんの初球にいきなり二盗を決め、浅見くんの適時二塁打でホームを駆け抜けた。この回3点を奪い、コールド(5回7点差以上)を決定づけたのだった。

 今大会では、前回大会で抜群の飛距離を発揮して猛威を振るったポリウレタン製のバットが使用禁止に。西村健太朗監督は「バットが変わったので、そうそうホームランは出ないと思っていた。スモールベースボールと言うか……最初は全然できなかったですが、(9月のチーム結成以来)活動を重ねながら、バントも上手くなってきました。結果的に小技で点が取れて良かった」とうなずいた。特に、脇元くんのスクイズには「このチームでスクイズなんて、決まったのを見たこともなかった。この大舞台でやってのけたのはすごい」と目を丸くした。

 小学生のうちからバントなどの小技をやらせていては、小さくまとまってしまう――という意見がないわけではない。西村監督も「未来のある子どもたちなので、どうすればいいのか……葛藤はあります」と胸中を吐露する。それでも「今は強打者でも、中学、高校に進んでから1、2番を打ったり、バントを求められることがあるかもしれない。バントもできないより、できた方がいい。練習して損はないと思います」との信念がある。基礎体力に優れ、全国トップレベルの実力を認められている選手たちだからこそ、上のカテゴリーへ進んだ後のために、小技を身につけておく意義もあると言えそうだ。

“大人びた野球”を身につけているジャイアンツジュニアの選手たちが、3連覇を達成した2012~14年以来、8年ぶりの頂点に近づいていく。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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