DeNA Jr.に犠打は「やらせたくない」 1戦3HR…“勝たなければ”より大事な意識

「野球は楽しい」…海外で痛感した意識

 荒波監督は現役時代、外野手としてベイスターズで8年間活躍した後、メキシカンリーグでもプレーした経験がある。「日本では『勝たなければならない』という意識を植え付けられますが、僕はまず『野球は楽しい』という気持ちを大きくしてあげたい。海外の野球では、そこが一番強調されていると感じました」と言う。

「小学生に対して今、体が小さいからといって右打ちをしなさいと指導したら、もしも体が大きくなった時、そういうことが染みついてしまっていて、可能性を減らしてしまう恐れがあるのではないか」と荒波監督。「これから中学生で強いチームに入ったり、高校野球を始めたりすれば、嫌でもそういうことができないと、試合に出られなくなります。それでも今は、横浜スタジアムで豪快にバットを振り、野球の楽しさを味わってほしい。そういう意味では、今日の試合はいい形になりました」とうなずいた。

 小学生のチームにもバント、スクイズなどの小技を多用するところはたくさんあるが、これもこれで1つの考え方ではある。荒波監督は「まだまだ野球人生が続いていく子どもたちにとって、思い返した時にここが原点になってくれたらいい」と語った。

 いったんは逆転となる3ランを放った立花くんは「緊張していましたが、チームメートのみんなが『ホームランを狙っていけ』と言ってくれたので、狙って打てました」と言い切った。試合後には、報道陣を前に「勝てなかった悔しさが60%、ホームランを打てた満足が50%」と表現。おいおい、100%を超えてるよ、とツッコミを入れると、「本当だ! 5分5分でした! すみません」と屈託なく笑った。白星こそ手にすることはできなかったが、ベイスターズジュニアの面々は存分にバットを振り、楽しげな笑顔を浮かべながら球場をあとにした。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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