日本で「ぬるま湯に浸かっていた」 中南米でプレーして実感…元DeNA乙坂の壮絶な1年
体調不良の中、点滴を3本打って試合に出たことも
「レオンはテスト生として獲ってくれて、その後(当時最下位だったサルティージョに)トレードに出された。日本では考えられないこと。メキシコはレベルが低いと言われていたけど、低いとは思わない。敗戦処理で出てくる選手など、下を見たらピンキリだけど、いい投手はいい。標高が高い分、打者が有利だけど、行ってみないと分からないと思った」
食中毒にもなり、下痢や脱水症状でもがいたこともあった。「でも、日本だったら『今日は休んどくか?』ってなるのに、こっちは違う。試合前に点滴を3本打って、普通に試合に出たこともありました」。そんな環境に身を置き、メンタルも自然とタフになっていった。
そして、ベネズエラではさらに手応えを掴んだ。「ベネズエラは本当にレベルが高くて、メジャーリーガーも普通に投げている。メキシコのウインターリーグは1チームに2、3人だったけど、ベネズエラは試合に出ているほぼ全員がメジャー経験者。今はそうでなくても、昔メジャーでバリバリプレーしていた人とかもいる。試合を重ねていく毎に、彼らと肩を並べてプレーして、いい経験になったなと思えるようになりました」。
その中で感じたのは、選手たちの試合出場への強い意欲だ。「守備の時にフェンスに激突して、突起物に太ももを当ててもう歩けないのに、周りの人たちは『明日も出るんでしょ?』って言ってくる。『俺はサイボーグじゃないから』って思いました。でも、こっちの選手はそれくらいタフ。本当に試合に出る。めちゃくちゃタフですね」。
ベネズエラでは8チーム中、プレーオフに進出できるのは5チームだけ。乙坂の所属するブラボスはリーグ5位となったが、5位対6位で5番目の切符を争うワイルドカードでの対戦で敗れ、12月30日にチームは敗退。プレーオフに出場することなく、ベネズエラでのシーズンを終えた。
「プレーオフに進出しないと1月は給料も出ないので、その仲間意識がすごく強いと感じた。チームが負けたら自分もプレーできなくなるので、ちょっとした高校野球みたいでしたね。プレーオフに出場できなかったのは残念です」