日本で「ぬるま湯に浸かっていた」 中南米でプレーして実感…元DeNA乙坂の壮絶な1年

自身のYouTubeチャンネルで情報発信【写真:本人提供】
自身のYouTubeチャンネルで情報発信【写真:本人提供】

自身のYouTubeチャンネルで情報発信「世界に素晴らしいリーグがたくさんある」

 1年間、がむしゃらに無我夢中で走ってきた。「助っ人として来ているので『外国人枠』のことがずっと脳裏にあって、頭から離れることがなかったんです。周りの選手よりも良い成績を残さないといけない。契約も2週間ごとで、毎回契約書にサインもする。日本を発つ時は覚悟できていたつもりだったけど、実際に経験してみると、その重圧をすごく感じた。これは精神的にきついなと思った。初ヒットを打つまではヤバかった。通訳さんにもすごく迷惑をかけてきたと思います」。シーズンが終わり、ようやく肩の荷が下りた。

 ベネズエラでは、メキシコに続き、YouTubeでも情報を発信し続けてきた。自身のチャンネル「乙坂智 Tomo Otosaka NICORAZON」では、現地の野球の様子などを動画で配信し、日本だけでなく、海外で野球を続ける選択肢もあるということを伝えてきた。

「日本でクビになって、まだ野球が好きで野球を続けたいのに引退する選手がいるけど、すごくもったいない。日本はレベルが高いから、もし日本で芽が出なくても、その力を世界で発揮すればいいと思うんです。最後、野球が嫌いになって現役を終えるよりも、世界で自分を生かせる場所があるなら、世界にも素晴らしいリーグがたくさんあるので、視野を広く持ってほしい。海外で活躍できなかったとしても、海外に挑戦したことに変わりはないし、世界の野球を知った人がそれを指導者になった時に日本に還元して、日本がレベルアップできればそれでいいと思うんです」

 実際、動画を見た(プロアマ含む)何人かの選手から問い合わせが来たという。異国での乙坂の挑戦は、他の野球選手たちにも刺激になっている。

 1年間の長かった海外での挑戦を終え、今後は束の間の休息を取り、再び海外に飛び立つつもりだ。「幸い、ベネズエラでは食事で困ることはなかったけど、今は日本食が恋しいですね。ホルモンが食べたい。YouTubeでも博多の屋台の動画とか見ていたんですよ」。目指すはMLB。契約はどんな形でもいい。乙坂はしばしのオフを休息、充電に充て、メジャーからの吉報を待つ。

(Full-Count編集部)

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