帰国して周囲から「丸くなった」 “一匹狼”福留孝介氏を変えた米国での5年間
24年間のプロ生活のうち米国で過ごした5年が持つ意味とは
中日、メジャー、阪神、そして中日と24年のプロ生活を送り、2022年シーズンを最後に現役を退いた福留孝介氏。日米通算2619試合に出場し、2450安打、327本塁打、1273打点という堂々たる成績を残し、NPBではサイクル安打も2度達成。リーグMVP1回、首位打者2回、ベストナイン4回、ゴールデングラブ賞5回など受賞歴は枚挙に暇がない。
福留氏のプロ人生は大きく、中日第1期、米国期、阪神・中日第2期の3ステージに分けられる。その中でも2008年から5年を過ごした米国での時間は、45歳まで現役でプレーしたキャリアにどんな影響を与えたのか。福留氏の米国期にスポットを当てた連載の第1回は「一匹狼を変えた米国での経験」について迫る。
米国での5年間はどんな時間だったのか――。引退試合からおよそ3か月。現役時にも増して多忙な日々を送る福留氏に、直球の質問をぶつけた。
「どうなんだろう。自分がそう感じるというより周りから言われることだったら、やっぱり周りの人は『トゲがなくなった』『丸くなった』とは言うね」。そう言うと、少し嬉しそうな様子で続けた。
「ほら、日本にいる時はずっと、どっちかっていうと一匹狼じゃないけど、周りと一緒に何かをするということは、あまりしないタイプだったから。そういう意味ではアメリカに行って帰ってきて、日本でまた阪神、中日とやった時、若い選手に話し掛けたり、一緒にいろんなことをやったりが、丸くなったっていうのかな。今のこの時代、若い子たちに合った形に自然と変えることができたのは、あの5年間があったからじゃないかな」
だとすれば、もし米国を経験しなければ、引退記者会見で後輩たちがサプライズ登場したくなるような選手にはなっていなかったのだろうか。
「昔ながらの野球選手だったかもしれないな。常に上から、っていう(笑)」