HR激増に“疑惑”の目も…「俺は何もしていない」 本人も驚いたトリプルスリー
向けられた“疑惑”の目も「俺は何もしていないしね」
もちろん、野村氏は「俺は別に何とも思わなかったけどね、何もしていないしね」ときっぱり。「そんなことを疑われるようじゃ駄目とかいう見方もあるそうだけどね。じゃあ、実はやってました、とか言ったら、どういう反響になるのかな。冗談だけど」と笑い飛ばした。
「トリプルスリーが1回できたっていうのは、こっ恥ずかしいんだけど、それをする人が少ないのだから、名誉な記録は残せたのかなっていうのはありますね」と野村氏は話すが、1996年以降は壮絶な怪我との戦いが始まったことも、その後の成績には関係しているはずだ。もっとも本人は「怪我がなかったら? いやそれはわからない。それがなかったらできていたよっていう自分もいない。野球は結果論だから」とこれについても完全否定したが……。
怪我をしても休まない。休めない。休むわけにはいかない。そういう時代だったあの頃。野村氏は「古い人間だよね、昭和の人間だよね。先輩たちから、休んだら誰が出てくるかわからないよって教育を受けて育っているから、休むのは嫌いだったんだろうね。今だったら、そんなこと駄目だよね。怪我をしたら言わないと。ファンもしっかり見てるし……」。でも、そうはできなかった。前田智徳氏、緒方孝市氏、金本知憲氏、江藤智氏……。そこにはハイレベルなライバルたちとの“関係”もあった。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)