収入は1/4も…「予想がつくものは面白くない」 独立L監督へ転身した元NHK職員の覚悟
「ディレクターとして磨いてきた取材力は、監督としても自分の強み」
野球の指導経験は皆無だ。色川冬馬GMは「『未経験者が監督をやるって、どうなの?』という声は当然あるでしょう。だからこそ楽しいんじゃないの、と思います」。
伊藤監督を選んだ理由については「非常にスマートで、ご自身のお考えをお持ちの方です。番組のディレクターというポジションは、プロ野球チームにおける監督と非常によく似ているとも思いました。チームのルール、予算、環境に制限があり、上にフロントがいて、周りのコーチ陣をマネジメントしながら、主役の選手たちを生かしていくのが監督。ディレクターも会社の方針というものがあるでしょうし、カメラマンや音声さんといった、いわばコーチ陣に当たる人たちをまとめ、主役のタレントを1つのストーリーにのせていく作業ですから」と説明した。
「最初は取材者として、監督公募に興味を持った」と言う伊藤監督。「ディレクターとして磨いてきた取材力は、監督としても自分の強みになると思います。いろいろな方の話を聞き、人の表情、言葉の1つ1つを紡いできたことが自分の軸になっています」と一定の自信もうかがわせる。
3月9日から茨城県内で春季キャンプに入り、開幕戦は4月8日、ホームで埼玉武蔵ヒートベアーズとの対戦(球場未定)が予定されている。前例のないタイプの監督だけに「どういう監督を目指すのか、と聞かれても、誰かを手本にするわけにいかないですし、真似もできない。自分なりの方法でやっていきます」とキッパリ。先が見えないことは楽しいこと──。実際の采配ぶりを早く見たくなってきた。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)