「集中しろ!」はむしろ怪我のリスク増 練習時間を半分に→全国Vできた“秘訣”
東京・上一色中の西尾弘幸監督「中学生の集中力は長く続かない」
昨夏に全国制覇を果たした東京・上一色中の西尾弘幸監督は、野球では一般的な長時間練習を好まない。平日は2時間。かつて丸一日割いていた土日も4時間ほどで切り上げる。練習メニューは、選手の技術向上につながる内容を考えて取り入れている。
上一色中は近年、全国大会の常連で、昨夏には初めて日本一を達成した。指導歴34年目を迎える西尾監督は、かつて平日でも3~4時間、土日祝日は朝から日が暮れるまで練習時間を取っていた。しかし、時間短縮に方針転換してから結果も出せるようになったという。
「時間を長くすれば消化できるメニューの数は増えるかもしれません。しかし、中学生の集中力は長く続きません。今思うと『集中しろ!』『本気でやれ!』など檄を飛ばすことが多かったように思います。これでは練習の質は上がりませんし、怪我のリスクも高くなると思います」
西尾監督は無駄な時間をつくらず、選手が飽きないような工夫を凝らしている。例えば選手を打撃、守備、トレーニングといったグループに分け、待ち時間ができないようにしている。
ティー打撃では、ソフトボールを竹バットで打つ。バットの重さは700グラム、900グラム、1200グラムと使い分け、スイングする力をつけている。また、打撃投手やマシンで遅い直球や変化球を打ったり、メディシンボールを使ったり、バリエーションが豊富。西尾監督は「選手を飽きさせないことが大事です。集中した練習、楽しんで積極的な姿勢の方が上手くなります」と説明する。