大阪桐蔭のエースが見据える“連覇の先” 冬の変身でつかむプロへの「ノルマ」
故障明けの神宮大会で161球の熱投「ひとつ成長できた」
実は故障も乗り越えていた。昨秋の大阪大会で右脇腹を痛めていたのだ。「少し投げない期間を作って、体を治すことに専念して、何とか治した」という。そんな状況で近畿大会、神宮大会も勝ち抜いた。5-4で制した神宮大会の準決勝・仙台育英戦では161球を投げた。「あれだけの球数を投げたのも初めてだったし、あれだけ思い通りにいかなかったのも初めてだったので、そういった中で何とか勝てた。あの試合で自分もひとつ成長できたと思います」。
西谷浩一監督も前田を「フィールディングもそうですし、牽制もそうですし、バッターとの駆け引き、メンタルな部分、真っ直ぐ、変化球、いろんな精度とか、ピッチャーとしての総合力が高い子」と絶賛するばかりだ。
大阪桐蔭には秋の神宮大会、春の甲子園、夏の甲子園、秋の国体、すべて制覇という期待もかかるが、前田はその点でも「秋、春、夏制覇を目標にするのはいいですけど、意識しすぎると目の前の試合がおろそかになってしまうので、まずは1試合、1試合。それが結果的につながっていけばいいと思う」と落ち着いて前を見据える。
「自分をアピールできるのが甲子園と思うので、チームを勝たせるピッチングをしたい」。着実に上がるレベルアップの階段。プロのスカウトをさらにうならせる前田の投球が楽しみだ。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)