「世界一楽しく」→根性野球に“改革”断行 少年野球のカリスマ・辻正人監督の新たな挑戦

全国大会で優勝3度を誇る滋賀・多賀少年野球クラブ【写真:間淳】
全国大会で優勝3度を誇る滋賀・多賀少年野球クラブ【写真:間淳】

滋賀・多賀少年野球クラブは昨夏の全国大会で“持久力”の課題露呈

「世界一楽しく! 世界一強く!」の次に定めたステージは「令和の根性野球」だった。全国大会や世界大会で優勝経験のある滋賀の少年野球チーム「多賀少年野球クラブ」の辻正人監督が、新たな挑戦を始めている。打ち出した方針は、昭和の頃に当たり前だった根性野球と実力主義。しかし、決して時代に逆行するわけではない。

 思わず耳を疑った。これまでに全国大会で3度優勝し、2012年には世界大会でも頂点に立っている辻監督が、チームの大改革に乗り出していた。

「根性野球に戻そうと思います」

 かつては当り前だった忍耐力を鍛える根性野球から、多賀少年野球クラブは一早く脱却している。チームのスローガンは「世界一楽しく! 世界一強く!」。怒声罵声の禁止はもちろん、監督やコーチがサインを出さずに選手たちが自ら考えて動く「ノーサイン=脳サイン野球」を体現してきた。根性とは対極にある指導方針で、選手が楽しみながら「勝手に上手くなる仕組み」を作り上げた。

 ところが、辻監督は再び根性野球を始めたのだ。方針転換を決めたきっかけは、昨夏に出場した「高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」にある。多賀少年野球クラブは初戦を1点差で勝利。2回戦で前年度優勝の強豪・長曽根ストロングスと対戦した。結果は2-4の敗戦だった。辻監督は敗因を分析する。

「うちの選手たちは野球脳も判断力もテクニックも瞬発力も抜群で、全国制覇してもおかしくないチームでした。それなのに、なぜ2回戦で敗退したのか。理由は持久力不足でした」

練習時間は半日、ランニングメニューは増やさず持久力強化へ

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