コーチの“軽はずみ発言”に「頭にきた」 プライド汚された中日エースの怒りの矛先

1987年の開幕3戦目で力投する中日・小松辰雄氏【写真:共同通信社】
1987年の開幕3戦目で力投する中日・小松辰雄氏【写真:共同通信社】

小松辰雄氏は1985年にタイトル総なめ「ゾーンに入っていた」

 最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、沢村賞。1985年の中日・小松辰雄投手はセ・リーグの投手タイトルを総なめにした。際立ったのは終盤の白星量産だ。8月27日の巨人戦(ナゴヤ球場)からは負け知らずの8勝1セーブと無敵の投球を見せつけた。何かきっかけはあったのか。現在は野球評論家で、「焼処 旨い物 海鮮山」(名古屋市中区錦3丁目)のオーナーでもある小松氏が当時の“秘密”を明かした。

 1985年は開幕投手を務め、白星をマークした。「開幕投手は5回やったけど、この1試合しか勝っていないんだけどね」と話したが、だからといって前半から好調だったわけではない。球宴前までは勝ったり負けたりの7勝6敗。「タイトルなんて、考えてもいなかった」という。それが後半になって変わった。特に9月、10月は猛烈なスパートだった。「その間は確か2点くらいしか取られていないと思う。それで防御率もよくなってね」。

 不思議なことが起きたという。「ゾーンに入っちゃってね、真っ直ぐを投げたら打たれないという感じになった。相手が待っている球もわかるようにもなってね。真っ直ぐを待っているなと思ったら、真ん中にふわっと遅い真っ直ぐを投げたら相手は、ああってなったりね」。何が起きたのかはいまだにわからないという。

「翌年(1986年)の最初の先発(4月8日、大洋戦、ナゴヤ球場)の時も、それが続いていたんだけど、高木豊さんのピッチャーライナーを足に食らったら、なぜか、それまでのイメージが消えてしまった。それからはあれっ、あれっ、こんな感じじゃなかったなって全然思い出せなかった。ホント、あれは不思議だった」

星野中日1年目…小松氏は開幕3戦目登板で完封勝利を飾った

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