投球制限に侍ブルペンが用いる“秘策” 2009年ダルビッシュの再現も「ゼロではない」

侍ジャパン・厚澤和幸ブルペン担当コーチ【写真:小林靖】
侍ジャパン・厚澤和幸ブルペン担当コーチ【写真:小林靖】

栗山監督も「詳しくは言えないが…最後に行けちゃう先発投手もいる」

 2009年の第2回WBCでは、ダルビッシュが第1ラウンドの中国戦と第2ラウンドの韓国戦で先発。リリーフ陣の不振をうけて、米国との準決勝、韓国との決勝ではクローザーを務め、大会連覇の決め手の1つとなった。「あれは当初計算していたリリーフ陣がやられちゃって、苦肉の策だったわけですよね? 最初から予定していた起用法ではなかったと思う。短期決戦では、そういったイレギュラーが必ず起きると覚悟しています」と厚澤コーチは表情を引き締める。

 たとえば、ダルビッシュやオリックス・山本由伸投手あたりが1次ラウンドで先発し、準決勝・決勝ではクローザーに回る可能性も「何が起こるかわからないのが野球なので、ゼロではないのかなと思っています」と認めた。

 WBC本番を迎える前に、侍ジャパンは今月25、26日のソフトバンクとの壮行試合(ひなたサンマリンスタジアム宮崎)を皮切りに、6試合の対外試合を行う。「各投手が2試合くらいずつ投げられると思うので、それを見て、われわれが抱いてきたイメージと合っているかどうかを確認しながら役割をはめていきたい」と厚澤コーチは語った。

 慎重な物言いの栗山英樹監督も、継投について「どういう相手が来ても対応できるような、柔軟性を持った形が一番いい。試合が始まるまでには、自分がどこで投げるかがだいたいわかっていないと準備をできないけれど、(役割は)毎日違っていいと思う」とうなずく。

 さらに「戦略上の問題なので詳しくは言えないが、普段先発している投手にも何人か、短いイニングでもいけそうな投手がいる。逆に言えば、(先発とリリーフを)両方できる人をたくさん選んだつもり。その中には、最後(クローザー)に行けちゃう可能性のある人たちもいる」と“ダルビッシュ型”のクローザー抜てきに含みを持たせるのだった。状況に応じた変幻自在の継投。それができることが、世界一の座に就く条件なのかもしれない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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