涙の日々…監督からは苦言「それじゃダメ」　侍・牧原が乗り越えてきた“プロの壁”

“同期入団”藤本監督も感慨「本当に彼の努力の賜物」

「いろいろ彼は苦労してるでしょうから。100番台で入ってきてね。秋山さんが監督の時もバッティングですごく悩んでね。泣きながらバッティングしていたことも覚えているし。『どうしたらいいんですか』と、わからなくなったこともあるだろうし、それを乗り越えて今の地位にあるということは素晴らしいことじゃないですか」

　熊本・城北高からの入団で、まだ体の線も細かったのだろう。「入った頃はイチローみたいに（体が）流れながら打つタイプだった」と指揮官は当時を振り返る。今季13年目を迎え、小久保2軍監督から「今のチームで真っ直ぐに強いのはマッキーやね」と評されるほど力強いスイングは、藤本監督との二人三脚の日々で誕生した。

「当時の秋山監督から『そのバッティングじゃダメだ』ということで。『ついて（見て）やれ』と言われて一緒にやったけど、なかなか最初はうまくいかなくて。『どうしたらいいですか』って言うから、とりあえずやってみようって。テニスボールを打ったりね。タイミングの取り方とか、ワンバウンドに自分から入って打つとか。いろんなことをやりましたよ」

　侍ジャパンの甲斐拓也捕手に周東佑京外野手と、ソフトバンクから生え抜きで選出された3選手は全て育成ドラフト出身となった。誰よりもハングリー精神を持ってきたからこそたどり着いた侍の領域。「もう嬉しいですよね。牧原がそこまでの選手になったのかって。本当に彼の努力の賜物じゃないかな」という藤本監督の表情は、誰よりも世界一を願っていた。

（竹村岳 / Gaku Takemura）