行き場失った内川…走塁コーチの“懺悔” 絶たれたWBC3連覇、脳裏にこびりつく悔恨
「前もってチームで話していれば…ものすごく申し訳ない気持ち」
捕手のモリーナは強肩で知られ、内川にしてみれば、それもプレッシャーになったことだろう。高代氏は「コミュニケーションで、どうや、どうや、どうや、行くんか、行くんか、行くんか、いやあ、やめとこというのを前もってチームで話していれば、内川が泣かんでも済んだなと思って、ものすごく申し訳ない気持ちになった」と昨日のことのように神妙な表情で話した。
実はあの時、井端に代走・本多雄一も検討されたという。「でも、井端はボコボコ打っていたし、あの時、代わったピッチャーはめちゃめちゃモーションが大きいとミーティングでも言われていた。それで井端でもいけるんじゃないかということで、そのままになった。難しいですよね。まぁ、それも終わってからは何ともいえないですね」。
もしもあれがグリーンライトではなく「次の投球でスチールしろ」のディスボールだったら、どうだったか。「でも、そうなると、スタートがあまり良くなくても行っちゃうこともあるからね」と高代氏は言う。「たら」「れば」は言ってもどうしようもないが、それが分かっていても思い出せば考えてしまう。それくらい責任を感じているし、無念ということだろう。
イチローらがいた2009年と違って、2013年の侍ジャパンにはメジャーリーガーが1人もいなかった。そんな中で阿部を中心にチームはまとまり、山本浩二監督を胴上げしようとの思いでみんな必死になって戦った。残念ながら準決勝で夢は絶たれたが、高代氏は貴重な、何ものにも代えられない経験をさせてもらったと思っている。
今回のWBCに出場する侍ジャパンに向けては「日頃の戦いに向けてのミーティングでしっかりコミュニケーションを取ること。これは絶対大事だと思います。組織力が日本の強みでもあると思うんでね」と力を込めた。「もちろん一番になってほしいです」。2009年以来のWBC優勝シーンを高代氏も切に願っているし、楽しみにしている。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)