大投手と意見が“対立”…ほくそ笑む指揮官「やっとったのう」 実感したコーチの役割
山田久志氏と意見のぶつけ合い…星野監督は「やっとったのう」
ある日、練習中にランダウンプレーで山田久志投手チーフコーチと意見をぶつけあう時があった。「大先輩ですけど、このまま黙っていたら、選手に面目が立たないと思って言ったんですけどね。ケンカじゃないですよ。そしたら、晩飯の時に星野さんに『やっとったのう』って言われた。『すみません』と言ったら『遠慮しとったらあかんぞ、そのために呼んでいるんやから。何も言わなかったらクビや。ええから、ええから。ちゃんと守ってやるから』って」。
高代氏は「ああいう一言がすごい心強かった」と感謝している。「山田さんにもいろいろ教えてもらいました。生身で見たり聞いたり、本当に勉強になった。あの時、こうやって俺、納得したなって思ったら、後に引用させてもらっている。それは財産だと思う」とも話した。
そんな中日コーチ時代に印象に残っている選手といえば、昨季限りで45歳で現役引退した福留孝介外野手だ。1998年ドラフト1位(逆指名)で入団し、当時は内野手。「星野さんに『俺は孝介をショートで使うからな』って言われた」。守備は決してうまくなかった。「早出特守、居残り特守。ずっとやりましたよ」。でもエラーは多かった。
1999年9月16日、ナゴヤドームでの巨人戦前、高代氏は星野監督に「孝介はどこがええんや」と聞かれたという。「『外野です』と答えたら『バカたれ、内野でだ』と言われたので『肩は強いからどっちかといえばファーストに近いセカンドですかね』と言ったら、その日、スタメンでセカンドだった」。そしてエラー。「下手なことは言えないと思いましたね」と苦笑しながら当時を振り返った。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)