侍J吉田正尚は「目を上手く使える」 打撃向上へ「ぼんやり球を見た方が良い」

侍ジャパン・吉田正尚【写真:Getty Images】
侍ジャパン・吉田正尚【写真:Getty Images】

スポーツビジョントレーナーの野口信吾氏は2021年から松本剛をサポート

 筋力や体幹も大切だが、目の重要性に気付くとパフォーマンスが劇的に変わるかもしれない。昨季パ・リーグの首位打者に輝いた日本ハム・松本剛外野手らをサポートしているスポーツビジョントレーナーの野口信吾さん(以下、シンゴさん)は、安定した成績を残す選手や選球眼の良い選手は目の使い方が上手いと指摘。目の能力は動体視力だけに限らないという。また、小学生でもできるトレーニングも紹介してくれた。

 昨季飛躍した選手と言えば、松本を挙げる人は多いだろう。左ひざの骨折で離脱した期間がありながら、プロ11年目で自己最多の117試合に出場。打率.347でタイトルを手にした。松本が重点の1つとしているトレーニングに「目の強化」がある。2021年から松本をサポートしているのが、スポーツビジョントレーナーのシンゴさんだ。少年野球からプロ野球まで幅広く選手と関わる中で、野球における目の重要性を次のように話す。

「野球のバットは卓球、クリケット、ゴルフのように面がありません。使用する球もバレーボールやソフトボールより小さい。さらに、曲がったり落ちたりする投球を打ち返すわけです。打者も投手も体を横向きにして顔は真っ直ぐ向けてプレーするので、目を上手く使えないと成立しないスポーツと言えます」

 シンゴさんは高校生を中心に500人以上の目の使い方をチェックし、2020年からプロ野球選手のサポートも始めた。それまでの経験から、打撃が安定している選手や選球眼の良い選手の特徴と修正方法を把握していた。

 例えば、高めを苦手にする打者の中には、目だけを上に向ける動きがスムーズにできないため、顔が上がって上体が起き上がるケースがある。打撃フォームや体の動かし方にクセがあるように、目の使い方も選手によって違いがある。シンゴさんは高めに対して、顔が動かないような見方やトレーニング方法を選手に伝える。

 投手の右、左で極端に打率が変わる選手も、目の使い方に改善点がある場合がある。一般的に右打者は左投手に相性が良いと言われているが、松本は左投手の打率が良くなかった。だが、昨シーズンは左右どちらの投手も同じように攻略している。シンゴさんは「目線が下がれば頭や体は下がります。目は体全体に影響するわけです。筋力や体幹を強化する前に、目の使い方を大事にしてほしいと思います」と語る。

投球は「ぼんやり見る」手本はレッドソックス・吉田正尚

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