WBCに大物が出場できない“シビアな現実” 米国の投手層に影響…負いきれないリスク

ミゲル・カブレラ(左)とクレイトン・カーショー【写真:ロイター】
ミゲル・カブレラ(左)とクレイトン・カーショー【写真:ロイター】

今大会ではプエルトリコの守護神ディアスが負傷→今季絶望に

 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、米国代表は1次ラウンドをヒヤヒヤの2位で突破した。スーパースター揃いの打線に比べ、投手陣は層が薄いとの指摘も。その一因には、選手が直面する“シビアな現実”もあるという。米LAタイムズ紙が大会前に掲載した記事では、MLB球団が懸念するリスクに触れられている。

 米国投手陣では当初、サイ・ヤング賞3度を誇るクレイトン・カーショー(ドジャース)が出場を表明。同紙も「権威ある大会になり切れていないWBCにとって大きな出来事と見なされた」と振り返る。しかし、今年2月に突如辞退を発表。大会参加のための保険をかける際、過去の故障歴から保険対象外とみなされたことが理由だったという。

 保険とは、WBC期間中の故障が原因で選手がシーズンを欠場する事態になった際、その損失分をチーム側に支払うシステム。40人枠のロースターに入っている選手が対象となる。ただ同紙によると、対象外となる理由はいくつかあるといい、そのうちのひとつが“慢性的な症状がある”場合。カーショーはそのケースに該当したという。

 対照的だったのは、2012年に3冠王に輝いたミゲル・カブレラ(タイガース)。カーショーと同じく保険対象外となったが、球団は出場を許可。仮に大会中に負傷した場合でも、リスクを追うことを決断した。もちろん先発の中核を担うカーショーと、今季限りでの引退を表明しているレジェンドでDHとチーム内での立場が違うとはいえ、明暗別れた格好となった。

 今大会ではほかにも、ベネズエラ代表として出場を希望していたブルスダー・グラテロル(ドジャース)や米国代表入りを表明していたネイサン・イオバルディ(レンジャーズ)らが保険対象外でメンバー入りを果たせなかった。

 プレーには怪我はつきもの。今月15日(日本時間16日)には、プエルトリコ代表として出場していたエドウィン・ディアス(メッツ)が試合後に負傷。右膝の手術を受けることになり、今季絶望となった。国を背負って戦いたい選手と、シーズンへのリスクを回避したい球団。複雑なジレンマが、いまだ横たわっている。

(Full-Count編集部)

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