高校野球に「一石を投じたい」 大改革で聖地へ…東北・佐藤監督が行った”問題提起”
「自分で考えて自分で行動する部分は野球人がすごく苦手な部分」
名門校が取り組んだ大改革。巨人でプレーし、引退後は少年野球の指導者を行うなど全てのカテゴリーを見てきた佐藤監督の指導方針はチームに浸透した。練習メニューについても口出しはせず、選手たちに管理させる。12年ぶりの選抜出場という結果も残したことで周囲の雑音も振り払った。
「野球って皆、監督さんの采配でその通り、言われた通りに動く。自分で考えないので、指示待ち人間を作りたくない。あえて、今日は甲子園の初戦ですし、皆が頑張って勝ち取った。そこは大人が邪魔したくなかった。我々、大人が皆同じにすると、皆同じ打ち方、捕り方になる。でも、そうすると勝てるんです。高校野球って。だから、そこに一石を投じたい。自分で考えて自分で行動する部分は、野球人がすごく苦手な部分」
高校球児には勝ち負け以上に大切なことを伝えたい。その信念は大舞台にきても変わらなかった。
「彼たちのこの先に生きていく。その答えはすぐには出ないかもしれないが、5年後、10年後、20年後か分からないが、そのことを通して高校野球で学べれば、うちはいいかなと。変わったスタイルです」
近年は勝利至上主義が問題視されるアマチュア野球界。名門・東北は試合に敗れはしたが、新たな高校野球像を見せつけ甲子園の地を去っていった。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)