甲子園スタンドに「こんなにも敵が多いんだな」 “勘違い”で動揺…投手惑わせた珍事
試合への声援上回る大歓声…暴投で失点し「怖い部分が」
「第95回記念選抜高校野球大会」は21日、阪神甲子園球場で大会4日目の3試合が行われ、第2試合では長崎日大(長崎)が3-4で龍谷大平安(京都)に敗れた。長崎日大が守備についていた2回無死一塁の場面で、6番・八鳥煌紀内野手(3年)の名前がアナウンスされた直後に、アメリカ・マイアミで奮闘中の日本代表「侍ジャパン」のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝進出が確定。サヨナラ打と同時に、阪神甲子園球場でも大歓声と拍手が起きた。
マウンドにいた廣田樹大投手(3年)は一塁側スタンドを見ていた。甲子園球場が兵庫県にあることから、関西圏内の出場校が優勢になれば応援が過熱するとは覚悟していたが「こんなにも敵が多いんだな……」と驚いたという。
しかし、試合展開と“不釣り合い”な盛り上がりに「なんでこんなに沸いたのかな」と、しだいに不思議な気持ちに。試合後、侍ジャパンがサヨナラ勝ちしたと報道陣から聞かされると「頭になかったです」と苦笑いを浮かべた。
大歓声が収まったあと、八鳥の犠打と7番・松浦玄士捕手(3年)の右前打で1死一、三塁に。アウトを重ねたものの2死二、三塁から9番・桑江駿成投手(3年)へ4球目が暴投となり、先制点を許した。「切り替えてやったんですけど、心の中で怖い部分があったかもしれません」。侍ジャパン勝利の歓喜が思わぬ形で、球児へ影響を及ぼしていた。
(喜岡桜 / Sakura Kioka)