睡眠導入剤を服用、体重は8キロ減 孤独に輪をかけたコロナ禍…壮絶な3年間の監督生活

広島一筋のプロ野球人生「またカープファンになって応援します」

「今は120球くらいで投げさせすぎって、それも中6日でね。リリーフが3連投したら、けっこう言われて、4連投なら絶対あり得んって。僕なんか火水木金土、5日連続セーブをやったこともあったけどね。難しい時代になりましたよ」。昔と今を同じ物差しでは測れない。もちろん、それは重々わかっている。それでも自身の経験があるだけについつい歯がゆい思いにはなるのだろう。

 そんな佐々岡氏は今後について問われるたびに「解説しながらではありますが、また一カープファンになって、カープを応援します」と繰り返している。その言葉に偽りはない。だって、本当にカープのことが大好きなのだから。それこそ筋金入りだから……。

 FA資格を有しても権利行使を考えることはなかった。その書類がきても「毎年あけて、ピッと破っていた」という。「好きなところでやれているのに、わざわざ、どこかに行く必要はないっていうのがあったんでね。これがカープ以外の球団に入っていたら(FAで)カープに行きたいって思っただろうけどね」。日米野球で好投し、メジャーから高評価を受けても見向きもしなかったのも同じ理由だ。

 優子夫人に支えられ、子どもたちの存在に励まされ、多くの人々のバックアップもあって、佐々岡氏はここまでたどり着いた。母一人、子一人。2012年に亡くなった母・江美子さんには感謝しきれない。できれば、コーチや監督をやっている姿も見せたかったのは言うまでもない。「母親もそうだし、田舎の親代わりとか、後援会長も僕が監督になる前に亡くなったんでね」。

 とはいえ、佐々岡氏はまだ55歳。これから先も野球界に必要な人材であることは間違いない。島根県那賀郡金城町(現・浜田市)出身。かつての赤ヘルの18番はいつも感謝の気持ちを忘れない。現在地はあくまで野球人生の途中に過ぎない。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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