頭部死球も“志願の続投” 甲子園騒然も…フェイスガードは「すごく大きい」

8回に頭部死球を受けた高知・辻井翔大【写真:共同通信社】
8回に頭部死球を受けた高知・辻井翔大【写真:共同通信社】

高知は2022年2月に解禁された「フェイスガード付きヘルメット」を着用

「第95回記念選抜高校野球大会」は27日、阪神甲子園球場で大会8日目の3試合を行い、第2試合は高知(高知)が4-6で専大松戸(千葉)に敗れた。浜口佳久監督は「収穫と反省で言えば、収穫の方が多かった」と振り返り、今大会屈指の好投手である専大松戸・平野大地投手(3年)に9つの三振を奪われながら、少ない好機を得点へつなげた選手の奮闘をねぎらった。

 高知は初回、1番・木村星太朗外野手(3年)が四球を選び、2番・高木心寧捕手(3年)が左前打で続く。相手捕手の悪送球に乗じて1点を先制し、さらに5番・門野結大内野手(3年)の左中間適時二塁打で1点を追加した。だが、2回1死二塁の場面で高知の先発・西村真人投手(3年)が専大松戸の6番・広川陽大内野手(3年)に同点2ランを被弾。平悠真投手(2年)へ継投したが、この回4点を失い逆転された。

 2点を追う3回、2番・高木が中前打で出ると、けん制球がそれた間に一気に三塁へ。後続の内野ゴロで生還し1点を返した。8回には3番・高塚涼丞外野手(3年)と4番・山平統己内野手(3年)の連続二塁打で4-4の同点に。しかしその裏の2失点で勝負は決した。8回表に頭部死球を受けた辻井翔大投手(2年)がこの回もマウンドに立ったが、1死一、三塁の場面から連続安打を許した。

 頭部死球の場面では球場中が凍りついた。バッターボックスに立つ辻井の耳の上へ投球が直撃。衝撃でその場に倒れこんだ。浜口監督がベンチから飛び出し、立ち上がろうとする辻井を「大丈夫やから」と座らせた。昨年2月、顔への死球から選手を守るためのフェイスガード付きヘルメットの使用が認められ、高知はこれを採用している。今回は側頭部への死球だったが、指揮官は「すごく大きいなと思いました。顔はぐしゃっとなるので」と効果を感じている。

 ベンチへ引き上げた辻井はすぐに医師の診察を受け、赤く腫れた部分をアイシング。「(次のイニングも)行かせてください」と申し出たという。後ろに谷口隼斗投手(2年)が控えていたが、「1回戦、2回戦と、自分が長いイニングを投げたので、この試合も自分が長いイニングを」と、チームの目標である甲子園8強入りへ強い使命感を抱いての判断だった。

 8回のマウンドはめまいなどの死球の影響はなかったという辻井。「目標のベスト8をしっかりつかみたかったですが、最後は自分の弱みが出てしまった。2点を取られてチームを負けさせてしまった」。力及ばず、悔しさをにじませた。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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