先発転向の右腕は“敵なし状態”、覚醒間近の剛腕20歳… セイバー目線のOP戦パMVP

平良は防御率0.00、覚醒の予感漂うオリ山下

 最もRSAAが高かったのは西武の平良海馬。今季から先発転向ということで、登板した試合では6イニング1度、4イニング2度と、まとまったイニングを投球してきた。3月12日のソフトバンク戦では6回無失点でオープン戦ながらクオリティスタート達成第1号の投手となった。リリーフ時代と同様に安定した投球で、防御率0.00、WHIP0.41、奪空振り率14.0%と見事な数字を記録した。

 このオープン戦で最も注目を浴びたと言っても過言ではない投手が、オリックスの山下舜平大だろう。2020年ドラフト1位で入団の20歳。過去2年は1軍登板はなかった。今季はオープン戦で最速158キロ、平均球速155キロのストレートを披露し、三振奪取を繰り返す。3月24日の阪神戦では先発登板し6回2失点とクオリティスタートを達成。奪三振7、奪空振り率14.4%の快投を披露した。登板4試合で奪三振23、与四球はわずかに1と制球力も安定していた。

 ランキングに出ていないチームのRSAA1位投手は以下の通り。

楽天:則本昂大 RSAA2.42、登板4、イニング16回2/3、防御率2.16、WHIP0.78、奪三振率4.86、奪空振率9.4%
ロッテ:ペルドモ RSAA2.06、登板6、イニング6回2/3、防御率1.35、WHIP0.90、奪三振率8.10、奪空振率10.9%
日本ハム:メネズ RSAA2.03、登板7、イニング7、防御率0.00、WHIP0.71、奪三振率10.29、奪空振率11.8%

 セイバー指標で選ぶパ・リーグのオープン戦MVPとして、打者部門は栗原陵矢、投手部門は平良海馬を推薦する。ホープ賞を設けるとすれば、山下舜平大となるだろう。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY