「普段使わないカーブ」投げる“余裕” 大一番も…大阪桐蔭・前田が見せた底知れぬ能力

大阪桐蔭・前田悠伍【写真:小林靖】
大阪桐蔭・前田悠伍【写真:小林靖】

大阪桐蔭・西谷監督は選抜大会監督勝利数、歴代タイの「31」

「第95回選抜高校野球大会」が阪神甲子園球場で行われ、第10日の29日は準々決勝の4試合が激闘を繰り広げた。史上初となる2度目の春連覇を狙う大阪桐蔭(大阪)が東海大菅生(東京)を6-1で撃破して、準決勝に進出した。西谷浩一監督は選抜大会監督勝利数が「31」となり、歴代最多のPL学園・中村順司氏に並んだ。指揮官のメモリアル勝利に貢献したのはエースで主将の前田悠伍投手(3年)だ。見事な1失点完投劇。その裏には底知れぬ能力があった。

 最後のバッターを三振に仕留めてゲームセット。この試合11個目の奪三振。直前にフライを捕手が落球しなかったら、途絶えるところだったが、結果的には今大会初戦からの毎回奪三振が続いてのフィニッシュとなった。「三振を取りたいところは意図的に取りにいっているんですけど、三振を狙ってない時でも取れる時があるので、そこは結果的にラッキーという気持ちで投げています」とサラリと話したが、その投球術は実に巧みだ。

「真っ直ぐで押すところは押して、普段使わないカーブだったり、そういったところでいろんなことを試していって、いろんな配球ができた試合だったと思う。そこは良かった点と思います」。この大舞台を前田は「成長できる場と思っている」とさえ言い切る。「自分のレベルアップというか、それをできたらいいなと思っていた。カーブは練習でも投げてますし、練習通り投げていけました」。

 もちろん、それもきっちり計算されてのこと。「(東海大菅生は)初球からガンガン振ってくるチームというデータがあった。そこでひとつ緩い変化球で目線を浮かせる意味でカーブを投げて、そこから真っ直ぐであったり、いろんな球種を投げていったら、相手も考え方が変わってくるかと思った」。誰でもできる技ではないだろう。

147キロ直球は「1球だけ気持ちを入れて投げました」と笑顔

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